日本一やさしいお金の教科書

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日本一やさしいお金の教科書

お金についての教育不足

日本人はお金の話があまり好きではないように感じます。お金の話をすると「いやらしい」「汚い」と避ける傾向があります。

日本人の多くは、お金についての大事な話を誰からも教わらないまま、大人になるのです。

(3ページより)

これは社会に出た多くの人が感じるのではないでしょうか。ローン、保険、投資、貯蓄、税金、金利など、いまいちよくわからないまま大人になり、唐突にその判断を迫られます。自分も社会に出た最初の月に「保険に入りませんか」と声を掛けられましたがどうすべきかわかりませんでした。

年金もあまりあてにできない昨今、お金についての知識はますます必要になります。世の中には「○するだけで1億円儲かる」などのオイシイ儲け話が溢れていて、知識が不足していたために騙されてしまう人もいます。まずは自分自身でお金に関心を持ち判断できるようにすることが必要です。

佐伯良隆(さえきよしたか)氏

著者の佐伯良隆氏について、本書によると早稲田大学政治経済学部卒、ハーバード大学経営大学院MBA。ビジネススクールでファイナンス系科目の教鞭を執り、難解な金融や会計のテーマをわかりやすく解説する手法に定評がある方とのこと。

お金を貸したらいくら返してもらうべきか

面白い計算が紹介されていました。今日もらう100万円と来年もらう100万円では価値が変わるという話です。

例えば友人に1年間100万円を貸すとすると、およそ111万円を返してもらわないと割に合いません。それはつまりリスクの計算です。

不確実性

友人が1年後に約束を守れなかったり破ったりして100万円が返ってこない可能性があります。これを「不確実性」と呼びます。赤の他人にお金を貸す場合は不確実性も上がります。

機会費用

100万円を銀行に預け、利息が1%もらえたとすると、1年後に1万円もらえます。100万円を貸すことでこの機会を失うことになり、これを「機会費用」と呼びます。

現在価値と割引率

100万円が1年後に101万円になるとすると、1年後の101万円は、「現在価値」が100万円です。このように将来のお金を現在の価値に換算する場合の利率が「割引率」です。

割引率 = 機会費用 + 不確実性

現在価値 = 将来のお金の価値 ÷ (1 + 割引率)

(27ページより)

機会費用が1%、不確実性が10%とすると、割引率は11%。

現在価値が100万円で割引率が11%であれば、1年後に111万円を返してもらってトントンということです。

ハッとした点

恐らくこのブログを見るより実際に書籍を読んでもらいたいので、自分がハッとした点だけ書きたいと思います。

  • 宝くじは買うほど当たる確率は上がるが1枚買うごとに165円失っている
  • 個人資産の銀行預金割合、日本は55.2%、米国は14.6%、ヨーロッパは35.8%
  • 債権は信用が低いほど金利が高い
  • S&P社2013年6月の格付けで、日本は「AA-」でキヤノンの「AA」より低い
  • 投資信託のデメリットは手数料
  • ある銀行は預金の利息が0.1%の年、配当利回りが2.4%だった
  • リスク分散、株はETFか投資信託、更に債券、外国の株と債券を組み合わせる
  • 金は最強の守りの資産
  • 一度に買うより定期的に買い足しとバランス調整を行う
  • ブランドや職人の技術など、会社ごとに経営資源は異なる
  • 皆と同じということは、いくらでも替えのきくリスキーな立ち位置にいるということ
  • 住宅ローンは固定金利のほうが心配が少ない
  • 家は購入した瞬間に価値が減り債務超過状態になっているかもしれない
  • 賃貸派の最大のリスクはインフレ
  • 医療保険でいうがんの罹患と死亡者、多くは高齢者
  • 医療費は高額療養費制度だけでも何とかなる
  • 死亡時は国民年金から遺族基礎年金、妻子2人なら年間124万円がでる
  • 死亡保険はこの不足を補うように入る
  • インフレ、デフレ、円高、円安などはシンプルにとらえればわかる
  • 経済、企業、お金は、人、筋肉、血液

例えば10人のグループが1000円を持っていて、肩を揉むなどのサービスを1000円で提供。インフレはこの1000円が2000円になるもの人やサービスはそのままのイメージ。

まとめ

これは本当に素晴らしい本に出会ったと思いました。

冒頭で書いたように、日本ではお金の話を敬遠する文化のようなものがあると感じています。かくいう自分もお金に関する本を手に取るときは、なぜか恥のようなものを感じてしまったりします。

義務教育の社会科などで一定の教育を受けているにも関わらず、お金に関する理解があまりできていないのは、やはり日本人の保守的な文化にあるのかもしれません。

しかしお金に関する知識は、すべての人が持つべきものだと感じました。今よりもっと稼ぎたいと思う人がいなければ経済は回らないと思います。それが全く悪いことではないと気付き、正しいお金の知識を身につけて行きたいと自分も思います。

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